正直言って、メンバー発表で、新潟の矢野貴章が選出されるまでは今回の日本代表にほとんど関心が持てませんでした。まぁ、これは僕自身のサッカー観戦熱が一時ほどでなくなっている(しかも、家族の生活があるから、あの頃のように野放図に遠隔地に観戦になど行けなくなっている)ことも関係しているんですが、貴章が選ばれた後でも、「リードしている戦況で逃げ切りのために投入するため」という選出理由から、「このグループE(日本・オランダ・デンマーク・カメルーン)でそんな戦況になるなんてことが考えられるの?」と、出場には悲観的になっていました。
それでも、アルビレックス新潟のリーグ第12節山形戦が、矢野貴章の壮行試合になるということで、それはやっぱり、激励のために観戦に行ったんですけどね。
カメルーン戦は、当日になって放送予定を見て、これは結構見やすい時間だなあ、と思って、いかなる予断も持たずに見ることにしました。
報道を通じて、この代表チームというか岡田監督に対する悪評を色々読んではいましたけどね。でも本田のいわゆるビッグマウスは僕は特に気には障らなかったし、直前でMFが本職の彼を1トップに据えるという、監督がぶれているということの象徴のように言われた布陣も、多分いちばんゴールへ向かう力があるのは彼だということなんじゃないかと思い、それに、最近0トップなんて戦術を有力なやり方として推している人の文章も読んでいたので、そんなに違和感はなかったんですよね。
実際の試合では、本田よりは、前半の攻撃では左ウィングの大久保の突進と、右ウイングの松井大輔がよくキープして前に進み、センタリングを上げているのが目立っていましたね。画面を見ながら、何故こんなに簡単にセンタリングを上げることができるんだろう、相手の守備は何やってんの?とは思っていました。だから、点が入った時も、あれ、随分簡単に上がったなあ、と思っていたら、ボールの行く先には、それまで結構下がってボールを取りに行く感じが目立っていた本田がいて、あっさり点を取ってしまった、という印象が強かったです。
もちろん、これに至ったのは、ひたすら相手ボールに寄せて奪取を続けていた守備の集中があってこそ。特に中盤の3人(阿部、長谷部、遠藤)がよく我慢したと思います。
後半はカメルーンの圧力が増した分、ある意味では防戦一方になってしまったけど、岡崎に続いて、本当に矢野貴章が出てきたのにはいい意味で驚きました。見ている僕としては、単なる前線からの守備だけではなく、ドリブルで突っかけるプレーが何回か見られたのが嬉しかった。あれだけ迫力のあるドリブルができる選手は、矢野貴章の他には日本人選手の中にもそうはいないんじゃないかな。
最後はカメルーンのパワープレーで、ほとんどバレーボールかテニスを見ているかのような感じになってしまったけど、何とか最後まで我慢して勝利。これはしてやったりですね。(実を言うと、3人目の交代の長谷部out、稲本in に関しては中盤のバランスが崩れてしまうんじゃないかと、ちょっと心配したんですが、まぁ、カメルーンが中盤を省略してしまっていたので、DFの前にフレッシュな選手を入れることには意味があったんでしょう。)
この先は、浮かれることなく、優勝候補と言われるオランダにも粘り強い戦いで臨んで欲しいものです。日本戦の前に、オランダ-デンマーク戦を見ていたので、これは容易なことじゃないな、というのはよく分かりますけど。